車のブレーキを踏んだ際に「キーキー」と甲高い音が鳴る場合、ブレーキパッドの摩耗やブレーキローターの状態、部品の振動など、さまざまな原因が考えられます。
異音があるからといって必ずしも重大な故障とは限りませんが、ブレーキは安全に直結する部品のため、異音が続く場合は早めに点検を受けることが大切です。
音の発生メカニズムを正しく理解し、迅速に対応することが安全運転の基本となります。
ブレーキを踏むとキーキー鳴る具体的な原因、放置するリスク、プロへの点検依頼方法や費用相場を詳しく解説します。
車のブレーキを踏むとキーキー鳴る主な原因

車のブレーキを踏んだ時に発生する「キーキー」という不快な音には、複数の明確な原因が存在します。ブレーキ機構は走る車を止める摩擦運動を行うため、パーツの経年劣化や環境変化の影響を受けやすい部位です。
ここでは、代表的な4つの発生原因を順番に解説します。
ブレーキパッドの摩耗(インジケーターの警告音)
ブレーキを踏むとキーキー鳴る原因の一つが、ブレーキパッドの摩耗です。ブレーキパッドには、摩耗限度に近づいたことを運転者に知らせるためのウェアインジケーターが備えられている場合があり、パッドの摩耗に伴って異音が発生することがあります。
ブレーキパッドが摩耗限度に近づくと、ウェアインジケーターがローターに接触して異音を発生させるタイプがあります。この音が聞こえた段階で速やかにブレーキパッドの新品交換作業を行ってください。
ブレーキローター(ディスク)の傷や錆・変形
ブレーキローター(ディスク)自体の損傷や金属表面の錆・歪みも、キーキー音の大きな原因です。ローターは金属製の部品であるため、雨や湿気などによって表面に錆が発生することがあります。
長期間車を使用しなかった場合などには、ローター表面に錆が発生することがあります。軽い表面錆であれば、走行やブレーキ操作によって落ちる場合がありますが、錆の状態によっては異音や制動時の違和感につながることがあります。
ブレーキパッドの表面硬化やグリス切れ
残量が十分に残っている状態でも、ブレーキパッドの表面変質やグリス不足により音が出ることがあります。連続した強いブレーキ操作によって過度な熱が加わると、パッドの表面がツルツルに硬化します。
表面がガラス状に硬化すると摩擦特性が変化し、制動時に甲高い共鳴音を引き起こしやすくなります。パッドとキャリパーなどの接触部分の状態や、適切な潤滑が保たれていないことが異音につながる場合もあります。
ただし、ブレーキ周辺には適切な種類・箇所にのみ専用のグリスを使用する必要があるため、自己判断で塗布するのは避けましょう。
新車や交換直後になじんでいない・石などの異物噛み込み
部品が新品状態であることや、道路上の異物が挟まることで一時的にキーキー音が鳴るケースもあります。
ブレーキパッドやローターを交換した直後は、部品同士の接触面がなじんでいないことなどから、一時的に音が発生する場合があります。交換後も異音が続く場合や、音が大きい場合は、取り付け状態を含めて点検を受けましょう。
アタリが付くまでの音は自然に消えますが、小石の噛み込みはローターを削るため放置できません。異物が原因と考えられる場合も、無理に自分で取り除こうとせず、異音が続く場合は整備工場などで点検を受けましょう。
ブレーキの異音(キーキー)を放置する3つの危険性

「まだ車が止まるから大丈夫」と考えてブレーキのキーキー音を放置することは極めてリスクが高い行動です。異音は車両からのSOSサインであり、目視できない部分で深刻な破損が進行している可能性があります。
放置によって直面する3つの重大な危険性を把握してください。早期対応の重要性が理解できます。
制動力が低下し制動距離が伸びる(事故リスク)
キーキー音の原因によっては、ブレーキパッドなどの摩耗が進行し、制動性能に影響する可能性があります。異音だけでは原因や緊急度を判断できないため、異音が続く場合は早めに点検を受けることが大切です。
ペダルを強く踏み込んでも車が止まるまでに必要な制動距離が伸びてしまいます。前方の車両への追突事故や横断歩道での停止遅れなど、一瞬の遅れが致命的な大惨事へ繋がります。
雨の日の走行や高速道路での急減速時において、十分な減速が行えない危険性は絶大です。自身や乗員の命を守るため、制動力低下の兆候を見逃さず即座に対応してください。
ローターまで破損し修理費用が高額化する
警告音を無視して走行を重ねると、破損範囲が広がり修理費用が高額化します。ブレーキパッドの摩擦材が著しく摩耗した状態で使用を続けると、金属製のバックプレートなどがローターに接触し、ローターを傷つける可能性があります。
パッドだけでなくローターなどの交換が必要になると、パッドのみを交換する場合より修理費用が高くなる可能性があります。お財布へのダメージを抑える意味でも、異音を感じた初期のタイミングで整備に出すべきです。
車検に通らなくなるリスクと安全性の欠如
ブレーキに異常がある場合、保安基準に適合しない状態となり、車検に影響する可能性があります。ただし、「キーキー」という異音があることだけを理由に、車検に通らないと一律に判断できるわけではありません。
車検では、ブレーキの制動力などが保安基準に適合しているか確認されます。ブレーキ部品に摩耗や損傷などの異常がある場合は、必要な整備を行ったうえで検査を受ける必要があります。
不合格となった車両は再検査や追加整備が必要となり、無駄な時間とコストが発生します。常に保安基準を満たす健康なブレーキ状態を維持することがドライバーの責任です。
ブレーキから「キーキー」以外の異音がする場合の原因一覧

ブレーキから聞こえる異音はキーキーという高音だけとは限りません。音の種類によってトラブルが発生している箇所や緊急度が大きく変化します。
キーキー以外の代表的な異音と原因を整理して紹介します。愛車の異常状態を正しく察知する目安として役立ててください。
「ゴーゴー」「ゴゴゴ」という低い重金属音
「ゴーゴー」「ゴゴゴ」といった低い音がブレーキ操作に伴って発生する場合、ブレーキパッドやローターなどに異常が生じている可能性があります。摩擦材が著しく摩耗して金属部分がローターに接触しているケースもあるため、異音が大きい場合や制動に違和感がある場合は、走行を続けず点検を受けることをおすすめします。
金属同士が勢いよく削り合っている音であり、制動機能はほぼ崩壊状態にあります。制動距離が大幅に伸びるだけでなく、ローター自体も一刻一刻削られて損傷が拡大していきます。
この音が確認された場合は、ただちに安全な場所へ停車して走行を中止してください。自走しての移動は避け、ロードサービスやレッカーを手配して整備工場へ運ぶ必要があります。
「カタカタ」「カタコン」という打撃音・振動音
ブレーキを踏んだ際や解除した際に「カタカタ」「カタコン」と音が響く場合は、足回りの部品のガタツキが疑われます。
ブレーキキャリパーやパッドなどの取り付け状態、スライド部分の状態、足回りの部品などに異常がある可能性があります。
変形したブレーキローターが回転するたび、パッドやキャリパーを突き上げることで音が発生する事例もあります。
ブレーキ周辺の部品に緩みや異常がある場合、安全性に影響する可能性があります。異音や振動が続く場合は、早めに整備工場で点検を受けましょう。
「シャーシャー」「スルスル」という連続音
ペダルを踏んでいない走行中にも「シャーシャー」「スルスル」と音が続く場合、ブレーキの引きずりやローターと周辺部品の接触など、複数の原因が考えられます。キャリパー内部のピストンが錆や汚れで固着し、パッドがローターから離れなくなっている状態です。
ブレーキの引きずりを放置すると、部品が過熱してブレーキ性能に影響する可能性があります。異音に加えて焦げたような臭い、ホイール周辺の異常な熱、ブレーキの効きにくさなどがある場合は、走行を中止して点検を受けましょう。
遮熱用のバックプレートが歪んでローターに干渉しているケースもあります。走行中の継続的な擦れ音に気づいた場合も、速やかなキャリパー分解清掃やオーバーホールが必要です。
ブレーキのキーキー音への適切な対処法と点検の流れ

ブレーキからキーキー音が鳴り始めた際、正しい手順で対応することが重要です。パニックにならず、安全を最優先にした行動を取ることが事故を防ぎます。
異常を感じてから修理完了までの具体的な対処フローを説明します。手順通りに冷静な対応を進めてください。
まずは安全な場所に停車し症状を確認
走っている最中に異音に気づいたら、交通の邪魔にならない安全な場所へ一旦車を停車させます。ハザードランプを点灯させ、駐車場や広めの路肩へ落ち着いて車を退避させてください。
熱を帯びている可能性があるため、直接手でパーツに触れる行為は火傷の危険があり禁物です。ブレーキの効きが悪い、ペダルの感触がおかしい、異音が非常に大きい、焦げたような臭いがするなどの症状がある場合は、自走を避けてロードサービスなどを利用しましょう。
異音だけでブレーキ性能に問題がない場合でも、早めに整備工場などへ相談することをおすすめします。
ディーラーや整備工場・カー用品店へ点検を依頼
症状を確認した後は、速やかに自動車整備のプロへ連絡して点検の予約をとります。ディーラー、街の自動車整備工場、大手カー用品店など、信頼できる店舗へ相談しましょう。
店舗では、整備士がブレーキパッドやローター、キャリパーなどの状態を確認し、必要に応じて部品を取り外して点検します。異音の原因は複数考えられるため、車両の状態に応じて必要な点検・整備を行います。
目視では確認できない裏側の摩耗状態や油圧系統の異常まで正確に特定可能です。素人判断で放置せず、プロの診断を受けることが最も安全で確実な解決策となります。
DIYでの対処が危険な理由とプロに頼むメリット
ブレーキは安全に直結する重要な装置です。ブレーキパッドの交換など、専門的な知識や技術が必要な整備は、認証を受けた整備工場などに依頼することをおすすめします。
特に、ブレーキキャリパーなどを取り外して行う整備は、特定整備の対象となる作業があります。 プロに依頼することで、車両の状態に応じた点検や必要な整備を受けられます。
ブレーキパッド・ローターの交換時期と費用の目安

ブレーキ部品の交換作業には部品代と作業工賃が発生します。事前に相場価格や交換タイミングの指標を知っておくことで、見積もりの際も安心です。
ブレーキパッドおよびブレーキローターの交換目安と費用感を提示します。予算計画の参考に役立ててください。
ブレーキパッドの交換目安と費用
ブレーキパッドの厚みや交換時期は、車種や使用環境、パッドの種類によって異なります。
パッドの摩耗が進んでいる場合や、整備工場などで交換が必要と判断された場合は、早めに交換しましょう。ウェアインジケーターが作動する仕組みや摩耗限度も部品によって変動します。
ブレーキパッドの交換時期を走行距離だけで一律に判断することはできません。走行環境や運転方法、車両重量などによって摩耗の進み方が異なるため、定期点検で残量を確認することが大切です。
ブレーキパッドの交換費用に関しても、車種や使用する部品、整備工場によって異なります。前輪2輪分の交換でも、部品代と工賃を合わせた金額には幅があるため、事前に見積もりを確認しましょう。
輸入車や特殊なブレーキ部品を使用する車では、国産の一般的な乗用車より費用が高くなる場合があります。
ブレーキローターの交換・研磨目安と費用
ブレーキローターはパッドよりも強固ですが、永久に使用できる部品ではありません。
また、ブレーキパッドのように走行距離だけで一律に決められた交換時期があるわけではありません。摩耗や傷、変形、厚みなどの状態を点検し、必要に応じて交換します。
ローターの交換費用は、車種や使用する部品、整備工場によって大きく異なります。交換が必要な場合は、部品代と工賃を含めた見積もりを確認しましょう。
表面の状態によっては研磨で対応できる場合もありますが、研磨の可否や交換との判断はローターの摩耗状態などを確認したうえで決まります。状態に応じた最適な施工方法を整備士と相談して選択してください。
整備依頼先(ディーラー・整備工場・カーショップ)ごとの費用比較
どこへ作業を依頼するかによって、整備にかかる費用やパーツの選択肢が異なります。ディーラーは自動車メーカーの純正部品を使用するため安心感が高い反面、費用は高額になりがちです。
民間整備工場は純正品のほか、安価な社外優良品パーツの持ち込みや提案に対応してくれます。技術力を担保しながらディーラーよりも費用を抑えられるバランスの良さが魅力です。
カー用品店では、店舗によってブレーキ関連の整備に対応している場合があります。比較的相談しやすい一方、対応できる作業や部品の在庫は店舗によって異なるため、事前に確認しましょう。予算の都合や納期、純正品質へのこだわりを踏まえて最適な依頼先を選んでください。
ブレーキのキーキー音・トラブルを予防するための日常点検と運転習慣

ブレーキの異音トラブルは日常的な心掛けや適切なメンテナンスで未然に防げます。部品の無駄な消耗を防ぎ、車全体の寿命を伸ばすための予防策を実践しましょう。
今日から始められる3つの予防習慣を紹介します。日頃のケアが安全運転へ直結します。
定期的な点検(法定点検・車検)を怠らない
法律で定められた定期点検を受け、必要な整備を行うことが基本です。自家用乗用車では12か月ごとの定期点検などが定められており、車検(継続検査)とは別の手続きです。
定期点検では、ブレーキを含む車両各部について、法令で定められた項目を点検します。必要に応じて部品を取り外して状態を確認し、異常があれば整備を行います。点検費用を惜しんで受診をスキップせず、定期点検を必ずスケジュールに組み込んでください。
異常を感じたらすぐに専門家に相談する習慣
「いつもと違う音がする」「ペダルを踏む感覚がおかしい」と感じたらすぐ行動する癖をつけましょう。小さなキーキー音を「まだ動くから」と先延ばしにすることがトラブル悪化の主因です。
早期に点検を受ければ、清掃やグリス塗布といった軽微な作業だけで改善する場合も多いです。重大な故障へ進展する前にプロの目で診断を受ける習慣が、車と財布を守ります。
異音や違和感を覚えた段階で、躊躇なく整備工場やディーラーへ相談してください。
急ブレーキを避けたやさしい運転習慣の徹底
急ブレーキを繰り返すなど、ブレーキに大きな負荷をかける運転は、ブレーキ部品の摩耗や発熱につながります。十分な車間距離を確保し、状況に応じて早めに減速するなど、余裕を持った運転を心がけましょう。
また、過度なブレーキ操作によって高温状態が繰り返されると、ブレーキパッドやローターの状態に影響する場合があります。減速時はエンジンブレーキを意識的に併用し、ペダルをじわっと踏み込む運転を心がけてください。
十分な車間距離を確保したゆとりある運転が、パーツへの負担を軽減し異音予防につながります。
まとめ

車のブレーキを踏んだ際に聞こえる「キーキー」という異音には、ブレーキパッドの摩耗を知らせるもののほか、ローターの状態や部品の振動など、さまざまな原因があります。
異音の原因によっては制動性能に影響したり、ブレーキローターなどの損傷につながったりするため、異音を放置するのは避けましょう。
異音に気づいたら放置せず、直ちにディーラーや整備工場、カー用品店へ点検を依頼してください。
交換費用は車種や部品、整備内容、依頼先によって異なるため、点検時に見積もりを確認しましょう。日頃から急ブレーキを避ける丁寧な運転と定期的な点検を徹底し、安全なカーライフを楽しんでください。

